六代目三遊亭円生(明治33年〜昭和54年)の噺【阿武松】によると、

長吉という若者が能登国鳳至郡七海村から江戸に出てきます。京橋の観世新道の武隈文右衛門という関取のもとに名主の紹介状を携えてやってきました。武隈文右衛門も能登の出身だからです。弟子入りした長吉は、小車という四股名を もらう。しかし、物凄い大飯ぐらいのため、おかみさんが驚き、暇を出してしまった方がいいと武隈に訴えました。小車は一分の金を持たされ破門されてしまいます。生国能登に帰る道中、戸田の渡しで身投げしようと思いますが、貰った一分の金を生かすつもりで板橋の平尾宿へ戻り、橘屋善兵衛の旅籠に泊まります。 これが今生の飯の食い納めと、普段以上の大食いの様です。善兵衛は、余りにも食いっぷりの良さに感心し、事情を聞くと、同情して新しい親方を紹介してやろ うと言い、翌朝出かけます。巣鴨の庚申塚を抜け、本郷追分を通り、根津七軒町の親方、錣山喜平次の所に改めて入門し、錣山の出世名・小緑の四股名をもらい ます。その後、死んだつもりで努力して驚くほど早い出世を遂げ、入幕して小柳長吉と改名する。文政五年、藏前八幡の大相撲で元の師匠武隈とのわりが出て、 おまんまの敵と対峙。この取り組みが長州公の目にとまり阿武松と改名、六代目の名横綱になる、という目出たい噺であります。


(しかしながら、この噺は後世による脚色が多く実際とは少し違うようです。又、師匠の武隈は阿武松が入門した文化二年に引退、また、文政五年には藏前八幡での興行は打たれていない。)

落      語

【元犬】【阿武松】【傾城瀬川】

(もといぬ)

(おうのまつ)

これは相撲取りが主人公の人情噺です。噺の粗筋は次の通りです。

【傾城瀬川】

(省  略)

【元犬】

当社を舞台とした落語は二、三ありますが何と言っても第一に【元犬】を挙げることが出来ましょう。
噺の粗筋は次の通りです。

 (けいせいせがわ)

八代目春風亭柳枝(明治38年〜昭和34年)の噺【元犬】によると、

蔵前八幡の境内に1匹の純白の野良犬が参詣客に大変可愛がられていた。参詣客から「白や、おまえのような純白の犬は人間に近いと言う。次の世にはキッとにんげんになるだろうよ」と言われ続けていた。白犬は
「この八幡さまは、たいそうご利益があるってんで、人間がみんなお参りに来る。人間だって犬だってご利益には変わりはあるまい」と考えた。願いは「人間に なりたい」。三ン七、21日の裸足(はだし)参り。満願の朝、妙に生あたたかい風が吹いてくると、白犬はクラクラッとなって気絶してしまい、しばらくし て、気が付いてみると、体中の毛が抜けて人間になっていた。
素っ裸で立っていると、顔見知りの三間町の人入れ稼業(職業紹 介所)上総屋吉兵衛さんに出会い、事情を打ち明けて、羽織を着せてもらい店まで連れて行ってもらう。部屋に上がれと言えば、汚い足で上がろうとし、雑巾で 足を拭いてからと言えば口にくわえて振り回すし、女房を紹介すれば「知ってます。昨日も台所をのぞいたら水をぶっかけられた」。吉兵衛さんは女房と相談し て、とぼけた人が良いという、千住のご隠居に紹介することに。さらしを切って下帯にと出せば、首に巻いてじゃれるし、着物を着込んで出掛けようとすれば、 吉兵衛さんの下駄まで履いて四つんばいになっている。「これから行くところは千住だ。ご隠居さまと女中のおもとさんの二人暮らしの家で退屈している。とぼ けた人がいてくれたら退屈もまぎれようというのでそんな人間をさがしていたわけだ。お前ならご隠居さまもお喜びになるだろう」。犬の癖が抜けずに、千住へ 行く途中で猫にうなったり、曲がり角で片足をあげて、小便をしたり・・・。千住に着いて「地方から来たので言葉がときどき分からない」と吉兵衛さんは弁解 し、待たせている彼を呼ぶと「寝ちゃっている?それはいけません。玄関の敷居にアゴを乗せて?」。部屋内に通すと「この人はきれい好きだ。だってグルグル 回って畳の匂いをかいでいる」。吉兵衛さんが帰って、彼に【生まれは?】「藏前の八幡さまの近くの掃き溜めで生まれた」「え!・・・そうか、卑下をして言 うとはエラい」。「両親は?」「両親てなんですか」。「男親は?」「あー、オスですか」「オイオイ」「表通りに伊勢屋って呉服屋があってそこの白がそう じゃないかと思って・・・」「心ぼそいはなしだなぁ・・・」「女親は?」「メスはとなり町の黒が毛並みがいいって、あとを追っかけていったきり帰ってきま せん」「ふーん、浮気者なんだな。お前さんのおふくろてぇものは・・・じゃあ、さだめし苦労したろうな。で、ご兄弟は?」「三匹です」「オイオイ」「一匹 は踏みつぶされてしまいました。もう一匹はむやみに人間にかみつくもんですから、つかまえられて、どっかへ連れていかれちまったんです」「ところで、お前 さんの年は?」「三つです」「そうか二十三位だろうな」「名前は?」「しろ、です」「白・・・と有るだろう」「いえ、只のしろです」「そうか、只四郎か、 イイ名前だ」「お前のような若い人にいてもらうと心丈夫だ」「夜は寝ません。泥棒が来たら、向うずねを食らいついてやります」「気に入った。いてもらお う。ところで、のどが渇いたからお茶にしよう。チンチン沸いている鉄びんの蓋を取ってくれ、・・・早く」「ここでチンチンするとは思わなかった」と犬のと きのチンチンをする。「用が足りないな。ほうじ茶が好きだから、そこの茶ほうじを取ってくれ。茶ほうじダ」「?」「わからないかな?お茶を焙じるものだ よ。そこにあるだろう。その焙炉だよ。」「ほい炉。ホイロ」「うー〜」「ホイロ!」「ワン」。「やだね。(女中の)おもと〜、おもとは居(い)ないか、もとは居 ぬ(犬)か?」「へぇ、今朝ほど人間になりました」。

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